過去、編集部でもご紹介したVR題材アニメ「ソードアート・オンライン(SAO)」。
その劇場版「ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-」が2017年2月18日に公開されました。早速、編集部も観覧してきたので、紹介と共に感想をお伝えします!
これはゲーム、そう思っていた───
オーディナル・スケール(OS)は、アニメ版を見ていなくも楽しめる内容になっています。また、今回はAR(Augmented Reality -拡張現実-)が主となっています。VRとはまた違うのでしょうか?
時代はSAO(ソードアート・オンライン)からOS(オーディナル・スケール)へ
2012 年にTVシリーズ第1期の放送が開始。2014年には第2期が展開されたアニメ版「SAO」。
時間軸では第2期のマザーズ・ロザリオ編から2週間後。現実世界の東京を舞台に繰り広げられるのが、本作「OS」です。
プロローグ
2022年。天才プログラマー・茅場晶彦が開発した世界初のフルダイブ専用デバイス≪ナーヴギア≫
――その革新的マシンはVR(仮想現実)世界に無限の可能性をもたらした。
それから4年……。
≪ナーヴギア≫の後継VRマシン≪アミュスフィア≫に対抗するように、一つの次世代ウェアラブル・マルチデバイスが発売された。
≪オーグマー≫。
フルダイブ機能を排除した代わりに、AR(拡張現実)機能を最大限に広げた最先端マシン。
≪オーグマー≫は覚醒状態で使用することが出来る安全性と利便性から瞬く間にユーザーへ広がっていった。
その爆発的な広がりを牽引したのは、≪オーディナル・スケール(OS)≫と呼ばれる≪オーグマー≫専用ARMMO RPGだった。
アスナたちもプレイするそのゲーム に、キリトも参戦しようとするが……。
AR(拡張現実)型情報端末《オーグマー》
ヘッドホンのような外見の次世代ウェアラブル・マルチデバイス。それが、《オーグマー》です。
コードレスで、装着は左耳に引っ掛けて後頭部と固定するだけなので、コンパクトかつ手軽なのが魅力的。覚醒状態の人間に視覚・聴覚・触覚情報を送り込むことで、現実空間に仮想アイテム情報を投影することができる技術、ARを採用しています。
この情報投影技術は先を進んでおり、ゴーグルやメガネにではなく、電磁波により視覚情報入力することに加え、先端のカメラが視線を検知し、現実空間に仮想アイコンや映像を表示させています。
現実空間の建物や道に合わせて、情報表記やルートや乗り換え案内。カレンダーや天気予報の確認、SNS・ゲーム利用、目の前で摂取した食べ物のカロリー計算等、今日我々がスマートフォンで見ること、できることが《オーグマー》により、さらにカジュアルに使用できるようになっています。
また、新たな映像体験もできるようになっており、TVからキャラクターが飛び出してきたり、自宅で登山や旅行先に行っている気分を味わえたりします。フィットネス中に巨大な岩から逃げる等、面白い体験も?!
オーディナル・スケール
≪オーグマー≫専用ARMMO RPG。
最新技術を用いた次世代的ゲームとして話題となり、発売と同時に世間を席巻します。その人気はVRゲームユーザーが減少していく影響も与えるほどです。OSは現実世界をフィールドとして、各所に出現するアイテムの蒐集、モンスター討伐などを経てプレイヤーの≪ランク≫を上げていくゲームです。
この討伐における戦闘に欠かせないのが、《オーグマー》の周辺機器、タッチペン。手に握れるほどのペンライトみたいなもので、《オーディナル・スケール(OS)》をプレイするときは、これが剣や銃などの武器に変化します。
OSにはランキング・システムがあり、ランク上位のプレイヤーには圧倒的な力が与えられると共に、現実において協賛企業から様々なサービス(商品提供や予約やサービス優待など)を得られるのも人気のひとつです。
また、本ゲームのイメージキャラクターでもある世界初のARアイドル、ユナが随所に出てきて、彼女目当てのユーザーも計り知れません。ユナの完成度は高く、実在しているのではないかと噂さが出ています。
私たちはSAOなんだ
本作を観終えて、個人的に振り返ってみます。※あくまでも一個人の感想と考察です。
キリトの憂鬱
本作品はARを介して、現実世界が舞台というのはお分かりいただけたかと思います。
冒頭に《オーグマー》の利便性、安全性、多様性を魅せつけられ、近未来に社会の想像をかきたてるシーンは面白かったです。そして、ゲーム。ARゲームにおいて、我々の記憶で新しいのは「ポケモンGO」。スマートフォンを通じてですが、ここまで社会に影響を与えたものですから、この《オーグマー》のようなデバイスが出たら、間違いなく時代の変化スピードにさらなる拍車をかけるでしょう。
では、SAO勢の現実世界描写はどうなのか。これまでSAOは現実世界のシーン描かれてきましたが、それはあくまでもSAO内の事件や事故に関連した描写です。ゲームの醍醐味ともいえるバトルシーンを現実に持ってきたのは本作が初めて。そう、SAO作品としては異例です。
この違和感と困惑感を最も受けていた者がいます。それは、主人公キリトです。彼は最初は仲間がみんなOSを楽しんでいるのに、自分は参加に躊躇していました。むしろ否定的。ゲーム視点からすれば、VRと現実では体感覚も違い、やりづらいこともありますが、一番は心境問題です。
それはそのはず、彼は現実に至福な居場所と良い思い出が無いのです。生まれて間も無い頃に両親を亡くし、さらに10歳で生い立ちを知ってから、現実逃避のためSAOに安寧を求めた経緯があります。
アスナ(家庭のプレッシャー)やシノン(小さい頃の事件トラブル)も現実世界で難があり、SAOプレイしていたのに、現実世界を有意義に過ごせるようになったのは、アニメ版を見るとわかりますが、きちんとトラウマと対峙して乗り越えたからです。
アスナたちにとっては、SAOはゲーム。キリトにとっては、SAOは現実。という気持ちに違いがあります。当然、キリトはずっとSAOで生きてきたこともあり、現実世界において彼の弱さや儚さが本作で特に露骨になっていました。現実世界とどう彼が向き合うのか?そのアンサーが描かれるのか?展開が気になるところです。
ユナと観客(SAOファン)
今回、度々登場する歌姫、ARアイドルのユナ。私はユナの存在が、我々観客及びSAOファンのメタファーだと考えます。あまりここで、明記するとネタバレになりますので、補助線としてキーワード「ユナの興味対象と言動」「SAOの記憶」「本の改訂文章」を残しときます。注目してみましょう。
ファンを中心に僕たちが好きなキャラ、世界の根源はSAOだよね。という深層が表されているなと感じました。そこに目を向けると、ラストへの展開が納得です。あのキャラが!!あの技が!!SAOファンも楽しめる要素が盛り込まれているところも面白いです。
「これはゲーム、そう思っていた───」のキャッチコピーについて
今回のキャッチコピーは、それぞれの立場によって、異なる意味合いがあると感じました。
第一層はアスナたち含め、「OSユーザー」。OSをそのまま一般的なゲームと認識し、それが本作中にあったような展開にはなるとは思っていなかったと、ライトな解釈です。
第二層は「キリト」。OSそのものでなく、《オーグマー》を使用する現実世界そのものがゲーム。彼に取って現実でありたいと思う程、大切なのはSAO。したがって、ストーリーが進むにつれ、現実世界がSAOだと認識して初めて彼なりのキャッチコピーになります。
第三層は我々「ファン」。劇場版?新作ストーリー?VRでなくAR??この展開や現象、映画というのが娯楽(ゲーム)と認識した方も多いはずです。そして、実際に観覧することで、我々のキャッチコピーとなります。
第四層はSAO原作者かつ本作の原案脚本の「川原礫」。劇場版アニメに初めて携わること自体がゲームです。ボリューム感やストーリー密度。劇場版だからこその切り口。既存のファン及び初めて観る方に。様々な要素に対して手探りで、沢山迷いながら描いたようです。この熟考や過程を経て、彼はキャッチコピーを意識したはずです。
ARによる未来の世界観と新たなゲーム描写。そして、ファンには嬉しいSAO本来の持ち味。終盤になると、アクセルをさらに踏み込んで加速していく怒涛の展開となります。スタイリッシュな戦闘シーン、クスっと笑えるコミカルなやり取り等も有り、男女問わず幅広い年齢層も楽しめる作品です!
劇場版 「ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-」公開中
VR TOKYO 映画レビュー
- 見やすさ
- 斬新さ
- 爽快感
- VR(AR)・未来感
コメント
ストーリー的に見やすいです。ただ、技術系の話や過去の話が少し難しく感じる方もいるでしょう。
爽快感は主にバトルシーンです。様々なテクニックやカメラアングルが面白いです。
未来感はAR型情報端末を使った、日常生活が感じれてGOOD。
VR TOKYO 映画レビュー
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- 爽快感
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ストーリー的に見やすいです。ただ、技術系の話や過去の話が少し難しく感じる方もいるでしょう。
爽快感は主にバトルシーンです。様々なテクニックやカメラアングルが面白いです。
未来感はAR型情報端末を使った、日常生活が感じれてGOOD。